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味わいのあるグルメ漫画 孤独のグルメ

ハードボイルドな男が各地の名店を廻って蘊蓄を連ねる漫画、というとどこかありきたりですが、本著はその枠に収まりきらない深みや味わいがあります。

 

主人公の井之頭五郎は、一見すると洗練されたクールな人物の様ですが、読み進めるうちにどこにでもいそうな間抜けで情けない「オヤジ」だと思えてきます。でてくるお店も、下町や商店街で個人営業をしているような老朽化した大衆食堂で、必ずしも優れたお店というわけではありません。

 

本著が描きたいのは、主人公の卓越した味覚センスや、隠れた名店を読者に知らしめることよりも、どこにでもありそうな古びた小さなお店を、そのお店と供に時代を経てきた主人公を通して、出来るだけありのまま映し出すことなのだと感じました。